2020 August

 

 
 
石川功一氏が描いた軽井沢自生の草花たちを展示する可愛らしい個人美術館。繊細で優しいタッチの水彩や油彩は草花たちへの愛情に溢れ、軽井沢らしい深い霧の中に佇む高山植物が幻想的に描かれている。

 

 

 
 
東京ステーションギャラリーで「開校100年来たれ、バウハウス―造形教育の基礎」展を見に行く。バウハウス開校100年を日本で祝う巡回展、バウハウスとは何か?「学校」であるという視点から初代学長であった建築家グロピウスの下に集まったクレーやカンディンスキーなどの芸術家たちがこの学校でどのような授業を行ったかを、授業を受けた学生たちの実際の作品を通して見る、「バウハウス体験入学」のような展覧会。今までとは違った視点でバウハウスについて学ぶ貴重な機会。

 

 

 
 
 
 
東京ステーションギャラリーは1988年以来東京駅丸の内駅舎内にある美術館、館内の壁は塗装を取り除いてレンガを露わにし駅舎の構造がわかりやすく見られる。2階の回廊には駅舎の歴史を紹介する資料や2007年~2012年に行われた駅舎保存・復元工事で見つかった創建時の建材や再現された天井レリーフの原型などが展示されているのも興味深く、もう一つの展覧会のよう。

 

 

 
 
 
 
 
久しぶりに訪れるポンピドーセンターもコロナの影響は色濃く観光客が殆ど居ない、そしてエントランスもソーシャルディスタンス。いつもは企画展でいっぱいいっぱいでなかなかゆっくり見られない4階のギャラリー、大好きなマルセル・デュシャンの作品が静かに佇む。ボルタンスキーやアネット・メサジェなどもはやスタンダートなりつつある大御所が並ぶ広大なスペース、見渡す限り人の居ない美術館は何ともシュール。

 

 

 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
コロナ禍の中亡くなったブルガリア出身の「包む」アーティスト、クリストと妻ジャンヌ・クロード。2021年秋に凱旋門を包むはずだったプロジェクトに協力したポンピドーセンターで、パリの有名な橋である「ポンヌフ」を包む計画実現のため1975年から10年間奔走した記録を展示している。当時のパリ市長シラクが反対したこの壮大なプロジェクトはミッテラン政権の誕生で実現する。昨年撮影されたというドキュメンタリーもリアリティがあり、何よりその実現のために使われた建築現場さながらの機材が興味深い。来年は残されたスタッフが凱旋門を包むとか・・・。

 

 

 
 
 
 
 
 
ポンピドーセンターはコロナ禍にあっても期待を裏切らない興味深い企画展「グローバル・レジスタンス」、欧米以外のアーティスト62人による「現代の芸術と政治状況に対する答え―抵抗の表現」を集めたアグレッシブな展覧会。西欧文明に根ざす常識的な価値観から自由な表現へ、抑圧された状況への反抗など一つ一つの作品は全く違う方向性を持ちながらも世界の今の多様性を表す画期的な企画。「自由に生きる」事が難しい時代、キューレーションの面白さが光る。

 

 

 
 
 
 
 
パリ市がオーガナイズしている建築・都市計画の展示スペース、パビリオン・ド・アルセナル。毎回パリにまつわる様々なテーマを歴史、現状、未来図と展開し専門家でなくとも楽しめる展示が素晴らしい。今回のテーマは「シャンゼリゼ」、その歴史的写真は興味深くセピアのシャンゼリゼは映画のシーンのよう。車を極力減らそうと躍起になっているパリ市、将来的には両側の遊歩道を広げ車線を減らすとか…。タダでさえ常に大渋滞のシャンゼリゼ、車族の私にはあまり嬉しくない将来図。

 

 

 
 
 
 
 
 
大好きな美術館パレ・ド・トウキョー、いつもは24時まで開いているので夜の長いこの季節はアペリティフがてら出かけられるお気に入りスポット。今年はコロナの影響で21時まで、そしてソーシャルディスタンス・・・。美術館はどこも縮小気味のこの夏、期待を裏切らないヴォリュームに感激する。ジャンルもカテゴリーも分けずいくつもの展覧会が同時に展開するオムニバスのようなミュージアム、その自由な雰囲気に救われる想い。

 

 

     
 
 
expo index   page top

home